『本当のところ、結婚ってどう?』既婚者の本音インタビュー~外資系ホテル勤務Hさん(51歳・男)の場合
2018.12.07
100組の夫婦がいれば、100通りの結婚生活がある。
順風満帆バラ色の生活を送るカップルがいれば、別れを決断した夫婦もいる。
この記事は、結婚生活のリアルな実態をケースごとに紹介し、「結婚とは何か」を考える連載企画だ。
匿名、顔出ししないという条件で「結婚っていいものなの?」「相手を嫌になったりしない?」「結婚前とどう変わった?」など、既婚者の本音を聞いた実録記事である。
【CASE6】
50代のホテルマンが語る結婚生活のさとりかた
- Oさん(51歳・男性)
- ・外資系ホテルマネージャー
- ・結婚歴13年
- ・妻(50歳)、息子(10歳)
~30歳以降の結婚は打算的になる~
今回話を聞いたのは、北海道出身のホテル業を生業にする51歳男性Oさん。
38歳の時、転勤をきっかけに結婚したOさんは結婚生活13年のベテランだ。
10年も結婚生活を送っていると、関係性はやはり変わってくるのか。熟年夫婦の結婚の本音を聞いた。
~奥さんとの結婚の決め手は?~
「えっ? 恋愛をせず急に結婚が決まったんですか? すごい話ですね」
「好意がなかったわけではないよ。その時お互い30代後半のいい大人だし、近くにいる仲の良い人なら安心だからね。奥さんも同じような考えを持っていたからうまくいったんだと思います」
「恋愛せずに結婚をして、不都合はありませんでしたか?」
「一人の大人として接しているから、お互い依存しすぎなくて楽ですよ。30歳までの結婚は、恋は盲目でロマンスの勢いでいけるけど、体力がいるもの。30代後半にもなると生活の安定感や心の安心感を求めるようになりますよね。だから「ときめく」ような事はないですが、それもありだと思いますよ」
「好きな人がいて、絶対結婚したいと思える人がいたならそれもいい。でも、結婚したいなと思ったときに、ふと近くにいて、安心感や信頼感を感じられる人と一緒になることも、いいかなと思いますよ」
Oさんは孤独感を抱えて一人で生きるよりも、一緒にいて安心する、気楽にいられる人と結婚する言う道を選んだ。もちろん愛情がないわけではないが、大人になると結婚相手は「恋愛関係」以上に人生のパートナーとなり得るか、が大切になると話してくれた。
~結婚生活はどのようなもの?~
友人関係の女性と結婚したOさんだが、その結婚生活はどのようなものなのだろうか。普段の生活について聞いた。
「生活は普通の一般家庭と同じだと思いますよ。ラブラブな恋愛結婚をしても10年も一緒にいれば、だいたいこんな感じだろうという感じ。自分の両親を思い浮かべれば、だいたいは同じような関係性だと思いますよ」
「お子さんは小学4年生とのことですが、子育てについてはどうでしたか?」
「小さい頃は2人3脚で助け合っていたけど、小学生になったくらいから徐々に奥さん任せになっていっちゃったかな。親父はちょっと怖がられるくらいがちょうどいいと思っているから、少し距離をとってね」
「子どもと距離があることを奥さんはどう思っているんですか?」
「僕ら世代は母親が甘くて、親父が厳しいという家庭が多かったから、そこまで気にしてないんじゃないかな。厳しいといっても仲が悪いわけじゃないからね。母親と父親で役割が違うというのは認識しているはずですよ」
~結婚のメリット、デメリットは?~
「やっぱり、1人でいるよりも自由でいられる事は減ったよね。お金も時間も。一人になりたい時は終電まで家に帰らず、カフェやバーで時間を潰したりするしね(笑)」
「家に帰りたくない時もあるんですね」
「誰しもあると思いますよ。ただ、家で誰かが待っていてくれるってありがたいことだと思うし、感謝しているよ。そういう時がたまにあるってだけ」
「なるほど。そうなると、待っている家族がいてくれるということが結婚の良さだということですか?」
「そうだね。子どもの存在も大きいよね。出産に立ち会ったんだけど、生まれた瞬間涙がぶわ〜って溢れてきて、本当に感動した。あの感動を味わえたというだけで、結婚したかいがあったなと思いますよ」
「奥さんもね、子どもを産む大変な痛みに耐えていて、それを見たら彼女がすごく尊く思えてね。子どもが生まれて家族の絆がちゃんとできた気がしましたね」
子どもが生まれる感動、そして家族となり同じ時間を過ごすだけで、結婚のデメリットなんてどうでもいい。妻と夫ではなく、母と父になることは、恋愛感情の有無以上に結婚生活に必要だとOさんは実感しているそうだ。
~結婚してよかった?~
「孤独死するより良かったかな(笑)。というのは冗談だけど、結婚はいつかするものだと思っていたからあんまり考えたことなかったなぁ。でも自分は離婚したいとは全く思わないし、今はよかったと思うよ。」
「では逆に、結婚しなくていいと思ったことはありますか?」
「そうだねぇ。僕自身はないけど、今の時代、結婚しない人も多いじゃない? 事実婚で有名になっている芸能人もいるし。結婚という形に囚われるんじゃなくて、良いパートナーを見つけられればいいと思う。子どもをつくるなら、結婚していた方がかわいそうな思いをさせなくていいけどね」
「やっぱり結婚って子どもの有無が重要なんですかね?」
「僕らの時代は、まだ「早く結婚しろ」って言われてたから僕は結婚したけど、今は自由にしたらいいと思う。ただ、子どもをつくるなら子どもにとって一番いい形を選択する必要があるとは思うよ。親の勝手な事情を子どもに押し付けるなよって」
結婚はしなくてもいい、だが子どもをつくるなら話は別だというOさん。多様な生き方を選択できる現代だからこそ、子どもに対する責任感を持つ覚悟が必要だと考えているようだ。
■Oさんにとっての結婚とは?
「相手のことが好きだから結婚するものだとみんな思っている。それが今は一般的な考え方かな。でもね、一緒にいることで生まれる愛もあるってことを僕は言いたい」
「親や兄弟と同じで、奥さんも子どもも家族の一員になるんだ。恋愛感情も大事だけど、家族としてずっと一緒にいられるか。そこをしっかり見極めれば結婚は悪いものにはならないと思いますよ」
結婚しなければいけない時代は、終わりつつある。その中で結婚を選ぶのであれば、生活を共に続けられる相手かどうかが大事。
結婚10年以上のベテランのアドバイスは、いままで聞いてきた結婚感とは一味違ったものに思えた。
―おわり―
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「北海道の旭川で仕事をしていた頃、近くだけどある島に転勤することになって。一人だとさみしいから友人として仲のよかった女性をね、島に誘ったんですよ。そしたらついてきてくれるってもんで結婚した。そんなところです」