なぜ、日常の出会いに比べて婚活サービス経由での成婚率は高いのか
2021.02.10
年々増えている、婚活サービスを利用した結婚
過去20年で10倍に爆増したサービス利用者
リクルートブライダル総研の「婚活実態調査2020」による大規模調査によるとここ20年で大きな変化があります。
「実際に結婚した人」(2019年結婚)に占める婚活サービス利用者の割合が13.0%になったといわれています。
これは現代のわれわれには違和感のない数字なのですが20年前の2000年と比べるとなんと10倍になっている…という変化です。
(2000年は1.4%でした)
婚活というキーワード、東日本大震災の影響
特に2013年以降の伸びは著しいのですが、これについては
「リーマンショックや2011年の東日本大震災を経て、結婚そのものへの活動意識が高まった」
「『婚活』という言葉が定着してきて、こうした活動に対する恥ずかしさや抵抗が減ってきた」
「失敗しない結婚」のために相手に求める条件が表面化、多様化してきたのでこれにこたえる必要ができた」
などということが理由として考えられますよね。
特に「婚活をする」という言葉が確立し、恥ずかしさがなくなったというのは大きいと思います。
例えば適齢期の女性が
「お見合いしなきゃ」というと何か恥ずかしい(結婚に執着しているとか、恋愛ができないからお見合いしかないんだと誤解されてしまう)というのはあると思います。
それに対して「婚活しなきゃ」というのであれば表現もカジュアルで話しやすいですよね!
婚活サービス利用者が、結婚する確率とは
婚活サービスが伸びてきた一因として、他の手段よりも統計的にそのまま結婚できる可能性が高いというデータが出ていることも関係はありそうです。
日常の出会いより、結婚しやすい婚活サービス
たとえば上記に出てきた2019年に結婚した人で見ていきましょう。
婚活サービス利用者のうち42.8%が同じ婚活サービスを通じて結婚に至っているというデータがあります。
言い方を変えると婚活サービスは利用すれば、4割以上は「ほかの手段に頼ることなく」結婚できているということになります。
この数字は友人に紹介を依頼した場合そのまま紹介した相手と結婚に至る確率の26.7%、同じく合コン利用者が合コンを通じて結婚する確率8.7%と比較するとかなりいい数字ですね。
婚活サービスがほかの手段と比べた場合結婚に至る確率が高く、とても効率のいい方法だと言えます。
理由としてはいろいろありますが、友人の紹介や合コンなどと比べると「結婚」という目的が一致していることがバースになる出会いなので、当たり前ですが結婚に最も近い出会い方だと言えますね。
かつては「友人の紹介」が最多
自由恋愛全盛期の90年代から今世紀初めにかけては結婚相手との出会いについてアンケートを取ると「友人の紹介」というのがほぼ最多でした。
(余談ですが私の両親も実際はお見合いだったらしいのですが、子供の私たちには「友達の紹介で会ったのよ」と長い間言い続けていました(笑)。)
友人の紹介にもメリットはあり、それは「紹介なので安心」「この人にはこの人を紹介したらうまくいきそうだな」と「第三者の目で」考えてくれる人がいる、という点にありますよね。
しかし友人の紹介と言っても「あーあ、どこかにいい人いないかな。誰か紹介してよ」と気軽に声をかけられる友人がどれほどいるか…?という問題もあると思います。
相手を信頼してそこまで本音でぶっちゃけられる友人がいる人というのは、とても恵まれていると思います。
そして友人の紹介に限らず「自由恋愛」というものは初動で大きな勇気、行動力が必要とされます。
婚活サービスなどほぼない時代では「ナンパ」が最盛期だったのですが、最近は見知らぬ女性に声をかけること自体がリスクと認知されるようになり、また、アプリの台頭によって、わざわざ自尊心を傷つけられるナンパをする人は随分減ってきたように感じます。それこそ勇気をもって自分で誘ってみるといった「行動の敷居の高い、自己責任社会」が自由恋愛の世界です。
お見合い結婚を古いと避けて自由恋愛を目指したのはいいものの、気恥ずかしさを乗り越えて相性のいい相手にたどり着くエネルギーを割くのは、若者にとって年々難しくなってきているのがあると思います。
そうした背景から広い意味での「自由恋愛」でありながらも、比較的恥ずかしくなくまた効率的に出会うことのできるサービスが求められるようになりました。
それが一時期はやった「出会い系サイト」ブームになり、さらに昨今の「婚活サービスブーム」につながっているのだと思います。
婚活サービス利用の合理性が高い理由
結婚相手に求める条件が、具体的かつ多様化している
一世代前の方たちには少し失礼かもしれないのですが、いわゆる団塊の世代前後までの「結婚相手に求める条件」というものは現在と比較するとかなりシンプルなものがありました。
バブル期前後に多用された言葉で「3高」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
これはいわゆる「高収入、高身長、高学歴」のことです。
こうしたものを物差しに自分に見合った相手、少しでも良い相手と結ばれるのが「成功した結婚」だと言う物差しがあり、自分自身はともかく同性の友人と比較する際などによく引き合いに出されたものです。
しかしバブルが崩壊し21世紀になってから、消費者が求めるもののニーズが多様化したように婚活の世界でも「相手に求める条件の多様化」というものが進んでいます。
もちろん、例えば女性側から見て
「私は身長を最優先したい」
「他の条件は良いので自分の親と同居してくれる人」
など細かい面でのニーズが多様化したこともあります。
しかしそれ以上に
「同じ趣味を持った人」
「一緒にいて苦痛でない人」
「イケメンでなくていいので浮気を絶対にしない人」
などなど、相手の持つ内面的な部分をよく見て意思決定をする人は年々増えてきていると言えます。
そして2020年のコロナ禍は、その「多様化」にさらに拍車をかけるきっかけになったな…というのは去年1年間現場を見てきて実感したことでした。
自粛ブームによる経済不安や、在宅の時間が長くなることによって「一緒にいても苦痛や違和感がない」というある意味当たり前の条件が、より重視されるようになってきました。
ネットを活用した婚活で効率的な出会いを求める
2020年のコロナ禍で婚活の世界に起こった明らかな変化の一つが「ネット婚活が一気に活発になった」ということだと思います。
もちろんこれ以前からもネット婚活の伸びはものすごいものがありました。
たとえばリクルートブライダル総研の行った「婚活実態調査2019」によると、2013年には結婚した人全体のうち、ネット系婚活で出会った人というのは2.0%という比率でした。
しかしこれが5年後の2018年には7.4%と、4倍近くになってしまいました。
これは婚活アプリの普及や結婚相談所などでもネットサービスを取り入れて活性化していることも理由です。
結婚を取り巻く環境は大きく変化していることが表れているといえるのではないでしょうか。
価値観の多様化によって「結婚相手に求める、自分ならではの条件」の言うものがかなりはっきり見えてくる時代です。
しかしこれは「より多くの相手と比較し、出会うことで」初めて実現可能なものでもあります。
現在は婚活サービスの発達によって「いろいろな相手候補を直接見て、比較することができる」時代になったといえます。
そしてその中でも実際に対面するかはともかくある程度条件を絞り込んだうえで「誰に申し込んでみるか」ある程度選択の余地の増えるネット婚活は取り入れない手はありません。
結婚相談所などでもネットでの検索、お見合い、デートを積極的にサポートしてくれるところで活動することが大切ではないでしょうか。
お見合い結婚から恋愛結婚、そして改めて「令和のお見合い」が見直されつつある
結婚について、大きな時代の変化で現代をとらえていくと現在は「第3の変化」が起きていると考えられます。
「第1の変化」はお見合い結婚主流→自由恋愛結婚へのシフトでした。
本コラムの冒頭でも触れましたが、8割を占めていたお見合い結婚は今や逆転されてしまいました。
「家や親重視のお見合いか、自由な結婚か」という価値観の対立から後者(恋愛結婚)への大きな流れが起きました。
第2の変化は「恋愛結婚」です。
家や親、形を重視した結婚から「本人の気持ち」を最重視した自由恋愛が主流となりました。テレビドラマの影響も多大にあるように思います。
そこからしばらく、恋愛結婚の独壇場が続きます。
人々は恋愛し、好きな人と結婚する。テレビドラマの主人公のように。。。
これこそが結婚のあるべき形だと誰もが信じていました。
しかし、ここに来て再び、「お見合い」が脚光を浴びています。
そのひとつの理由が「離婚率」にあります。
現代は「3組に1組が離婚する時代」と言われています。
それは、恋愛と結婚生活が結びつかない「恋愛結婚」の弊害ともいえます。
それを補う形で「お見合いではないが、限定的なマッチングの中で好きになれる相手を選んでいく」という新しい形が発展してきました。
こうした婚活サービスを通じた「自立型の出会い、お見合い」が主流になっていく…というのが「第3の変化」と言えると思います。
昔は「こんなマッチングなんて冷たい機械的な仕組みで出会っても、自由恋愛にはかなわない。どうせすぐに分かれるだけだ」といった声が聞かれた時代もありました。
しかし「結婚後の実績」とも言える離婚率で見ていくと、実際は逆でそんな声は精神論に近いという感想を受けます。
たとえば現代の離婚率平均は現在30%台前半と言われますが、お見合いなどのマッチングシステム経由では10%台と低く、「条件を付けたうえで自分で選び、決断する」結婚というのは長続きする傾向があると言われています。※アメリカでの調査
婚活をしていると周りの人から色々な声が入ってきますが、中には励ますつもりもあるのでしょうが少し「精神論」に近いものもあります。たとえば
「運命の出会いが、いつかあるよ」
「あなたにピッタリの人が、いつか現れるよ」
といった言い回しです。
しかし厳しいことを言うと、こうした言葉は現在では落ち込んだ時の慰めにはなるかもしれませんが、相手を探すという意味では何の助けにもなりません。
居場所を変えて、出会える仕組みを作るという「自立型」の婚活戦略を取ることが、時代の流れにも合った理想の結婚に近づく一番の方法だと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
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